組合設立の効果

2. 業界の秩序維持・経営の安定

中小企業は、規模が小さく数が多いうえ、取引先等に対し力が弱いため、常に過当競争がつきまとい、採算無視の取引や粗悪品による業界の信用阻害などによって、業界の秩序が乱れ、経営が不安定になりがちです。

しかし、業界全体がまとまれば、不況時における生産の調整や取引方法の制限、あるいは品質規格の統一や閉店時間の協定など各種の協定も不可能ではありません。また、このようなことによって、業界全体のルールの確立が可能となり、業界の秩序が維持でき、経営の安定が得られます。更に、業界に対する批判や大企業の進出・不当な取引等に対しても、業界がまとまることによって大きな力となって対処できます。なお、この機能は、組合のなかでも、主として商工組合という組合が分担しています。

3. 業界全体の改善発達

個々の企業の近代化・合理化の努力も、業界の将来の方向に沿ってなされなければ無駄になりますが、最近のように激しく変化する時代では、変化への対応は容易なことではありません。
業界全体を網羅するような組合では、業界の方向やそれへの対応策の研究をはじめとして、技術、製品、経営管理などの研究を業界全体の立場から行いますので、業界全体の改善発達が図れるとともに、組合員は企業経営上のいろいろな指針が得られます。

なお、前項で述べた業界の秩序維持・大企業等への対応、および後に述べる中小企業施策への業界の意思反映についても、それらが、業界全体の問題を解決し、業界の不利な条件を取り除くものであり、企業が事業を行い易くなるよう環境を整備するものでありますから、業界全体の利益と改善に寄与するものであります。なお、この機能も前項と同様、主として、商工組合が分担しています。

4. 知識集約化・福祉経済への対応

高度成長経済から安定成長経済、そして現在の不況下において、中小企業に対し、知識集約化・福祉型経済への対応が要請されています。しかし、これらは、新しくしかも難しい問題でもあり、また、利益に直接結びつかない場合もありますので、個々の中小企業がそれに対応することは容易でありません。

これを共同で行えば、情報も入手し易く、また経費も節減できますので、個々で行うよりは、実施し易くなります。例えば、過密・公害問題への対応のための工場等の集団移転、省資源・省エネルギーのための廃棄物の共同再生利用・共同ボイラーの設置、および知識集約化のための新製品・新技術の共同開発、共同による人材養成、電算機の共同利用、新分野への共同転換、その他が、組合において既に行われつつあります。

5. 中小企業施策への意思反映

中小企業者個々の声は弱く、なかなか国には届きませんが、その声を組合に統合することによって大きな声とし、その意見や要望事項を中小企業施策に反映させることができます。それは、中小企業全体あるいは業界全体が対象となる国の施策ばかりではなく、産地や商店街などの地域的な問題に関する都道府県や市町村等の施策についても言えます。

6. 中小企業施策の受容

中小企業の施策は、いろいろ講じられておりますが、それを知らないため利用できないとか、知っていても研究する余裕がないため、利用できない場合が非常に多い状況です。
国などにおいても500万人に達する中小企業個々に直接施策を周知させることは不可能に近いことですので、組合を通じて施策の普及を図るようにしています。したがって、組合では、中小企業施策についての情報が入手し易くなりますので、組合員は施策を知る機会が増え施策が利用し易くなります。また、組合が施策を研究し、利用し易いものとして情報を流せば、更に組合員の施策利用が容易になります。

また、中小企業施策は、中小企業者個々を対象にするもののほか、施策の効果を一層あげるため、組合または組合加入者を対象にする各種の施策が用意されております。したがって、組合は助成を受けるためにだけ組織されるものではありませんが、組合をつくることによって、多くの施策が利用でき助成が受け易くなります。