組合の組織及び管理

1. 組織の構成

■組合の規模

組合の規模は、通常、組合員の多少、地区の広狭、出資金の多寡によって判断されますが、規模の大小によって組織の適否を判断することはできません。組合の規模は、組合の目的、実施事業の種類・内容等によって、それに応じた、ふさわしい規模があるからです。また、組合によっては、法律によって制約されている場合もあります(商工組合など)。

このように、組合の規模に関しては、一概に論じられませんが、規模の大小による利点や欠点などについては、次のようなことが言えます。

なお、種々の点で最適の規模をもつ組合でも、単独では解決しない問題がある場合は、連合会を組織し、その活用を図ることを考慮する必要があります。

  • 組合員の数
一般に組合員数が少ない場合は、意志疎通や結束が図り易く、また、協調性や事業の機動性を発揮するうえに利点があり、そのため、共同経営事業や協業を行う場合は、少人数が適しています。因みに、共同経済事業を主とする事業協同組合の平均組合員数は、88.9人(製造業38.8人、商業106.3人)、協業組合の平均組合員数は、10.1人となっています。
しかし、余り組合員数が少ないと、大量取引の利益が得られませんので、共同経済事業でも商品の共同仕入や共同販売などの事業を行う場合は、或る程度の組合員を確保する必要があります。
また、業界全体の改善発達を目的とする場合や、地域全体の振興発展を図る場合は、業界や地域内の大多数が加入しないと効果があげられませんから、主として、このようなことを目的とする商工組合や生活衛生同業組合、あるいは商店街振興組合では、一定数以上の加入がないと設立が認められないことになっています。

  • 地 区
組合は、組合員が加入できる地区を設ける必要があります(企業組合と協業組合は、不要)が、地区についても組合員数の場合と概ね同様のことが言えます。
地区が広すぎると、意志疎通が欠けがちになり、協調性や結束を保つうえで支障があるとともに、組合員の事業利用上、距離的に不便が生じます。したがって、物的施設を中心とする共同事業(共同生産・加工・保管などの事業)を主とする組合では、一般に比較的狭い地域を地区とすることが適切です。

しかし、共同経済事業でも物的施設を中心としない共同購入や共同販売などを主とする組合では、やや広い地域を地区としても差支えないことになりますし、ボランタリー・チェーンのような場合は広域が必須の条件であります。

また、業界全体の組織である商工組合等では、地区が狭くては意味がありませんから、広域であることを法律上義務付けられています。

また、商店街振興組合のように、地域の振興を目的とする場合は、或る一定地域を限定する必要がありますが、同組合の場合は法律によって制約されております。

  • 出資金
商工組合と生活衛生同業組合のうち経済事業を行わない場合は、非出資制が認められますが、他の組合は、すべて出資が義務付けられており組合員のすべてが出資しなければなりません。
出資金は、事業を行うための資本となるものですから、出資金の規模は、組合の行う事業の種類や規模に応じて決定されることになります。したがって、設備資金や運転資金に多額の資金を要するような事業を行う場合は、当然に多額の出資金が必要になります。
なお、組合の出資金は、年々増加していますが、余り充実しているとは言えない状況です。出資金は、事業に必要な資金としてだけでなく、組合の財政的基盤を形づくり、組合の健全性につながるものですから、非経済事業のみの組合を除き、一般的になるべく多くの出資金を確保することが望まれます。

■構成員の要件

組合は、どのような人で組織したら良いかという問題です。これも組合の種類や目的によって異なる場合がありますが、一般に、組合は互いに扶け合い協力して問題の解決を図ろうとするものですから、先ず共にやっていけるという協調性のある者、それから組合というものを理解しその効用を認めている者をもって組織することが望まれます。

次に、組合は、組合員の経営上の問題を解決しようとするものですから、同じ問題をもっている者をもって組織することが必要です。なお、共通の問題をもっている者同志となりますと、通常、業種・業態の同じ者ということになり、現実にも同業者の組合が大部分です。しかし、或る特定親企業の下請企業とか、商店街の商店などは、業種が異なっていても共通する問題点がありますので、このような場合は異業種で組織することになります。

次に、共通の問題をもっていても、企業規模や考え方などが余りかけ離れていると、意見がまとまらなかったり利害が衝突したりしがちになりますので、なるべく同じような質の人で組織することが望ましいわけです。

なお、商工組合、生活衛生同業組合および商店街振興組合のような組合では、なるべく多くの有資格者の加入が必要なので、上記のことは余り該当しない点がありますので、留意下さい。