組合設立の効果

1. 経営の近代化・合理化

組合に力を結集し、共同事業を行うことによって、次のような大規模経営と同じような効果が得られますので、それによって、中小企業がもっている規模が小さいがための欠点が補われ、経営の近代化・合理化が図れます。
■ 物的生産性が向上する
1人では導入できない新鋭機械も多人数でならば購入でき、これを共同で利用することによって、生産性の向上、能率の増進・省力化が図れます。また、共同で導入することによって施設の適正配置や、過剰設置となる弊害も避けられ、併せて製品品質の向上にも役立ちます。

■ 取引条件が有利となる
少量の取引よりも大量の取引の方が、一般的に有利な取引ができます。組合員個々の取引量は少量でもこれを纏めれば大量になります。例えば、原材料や商品を仕入れる場合に、共同仕入をすれば大量取引となり、価格や代金決済条件が有利になるなど大量取引の効果が期待できます。

■ 取引先等への交渉力が強化する
中小企業個々では弱い発言力も、これを結集すれば強いものとなります。組合員の取引先等に対して、組合が組合員の声を代表して伝えれば、組合員の声は強いものとなります。また、上述の取引条件の項とも関連しますが、共同仕入などの共同事業を通して交渉力が強化します。

■ 販売促進が図れる
中小企業の場合は、広告や宣伝も採算の点で充分行えませんが、共同でやれば採算がとれるようになります。また、取扱量が少ないため受けられない大口注文も、共同で受注すれば可能となるなど、大口取引先の開拓ができます。また、割賦販売などの販売促進に役立つ取引方法の採用も、共同で行えば、資金の手当もつき、大量取引の効果等によって、充分採算の合うものとなり実施が可能となります。また、小売業関係では、アーケードなどによる商店街の整備や大型共同店舗の設置によって、顧客の吸引が図れます。

■ 技術・品質が向上する
中小企業では、資金・人材不足、あるいは採算性等から、大企業のような試験研究体制はとれません。しかし、共同すれば大企業に近い試験研究施設の設置や技術情報の収集あるいは教育体制も不可能ではありません。また、組合員の協定によって品質や規格の統一を図ることもできます。更に、新技術や新製品の開発も不可能ではありません。

■ 資金が調達し易くなる
銀行などに対する信用力も、多数集まることによって大きくなり、資金が借り易くなります。また組合と組合員だけを対象にする金融機関として、商工組合中央金庫が設立されているほか、国の有利な資金貸付制度が組合を対象に種々用意されていますので、組合を作ることによって、これらの資金が利用できます。

■ 労務管理の近代化が図れる
労働条件の統一による集団求人や共同による安全・衛生面の向上、共同宿舎や教養文化施設の設置等の福祉増進事業によって、労働条件の向上が図れますので、それによって従業員の雇用が促進されます。また、職業訓練など従業員の教育を共同で行うことにより従業員の能力の向上が図れるほか、労務管理に関する知識の習得や情報の入手、あるいは労働保険の事務代行による労働事務の簡素化も図れます。
なお、組合の行う労働関係の活動に対しては、助成措置もいくつか講じられております。

■ 福利厚生の増進
生活用品の共同購入、リクリエーション活動、健康診断などの健康増進活動、慶弔禍福の際の見舞金支給など、組合員の事業面だけではなく、私生活面の利益増進も図れます。

■ 経営情報が入手し易くなる
情報化時代とも言われますが、中小企業の情報収集・分析体制は、余裕がないなどのため、充分備わっていません。これを共同でやれば、各自の負担も少なくてすみ、市場、技術、労務あるいは業界の動きなどをはじめ、法令の規制や海外情報など経営に必要な情報の入手や分析が可能となります。
また、組合員が組合の会合に出席することによって、出席者からいろいろの情報が入手できますが、組合をつくることによってこのような効果もあるわけです。