組合の種類と性格

3. 各種組合の概要

■ 事業協同組合
この組合は、共同事業によって組合員の事業の近代化・合理化等を図る組合で、共同事業も組合員の事業に関係あるものならば殆ど実施できます。また、設立も4人以上集まれば良く比較的自由に設立できます。このように、中小企業者にとって非常に利用し易いため、中小企業の近代化・合理化のための組織として広く活用され普及しており、中小企業の代表的組合となっております。 事業協同組合の主な事業としては、
  1. 生産、加工、販売、購買、保管、検査その他の組合員事業に関係する共同事業
  2. 組合員に対する事業資金の貸付
  3. 組合員のための福利厚生事業
  4. 経営、技術の改善のための教育・情報の提供
  5. 組合員の取引先等に対する団体協約の締結事業
    などがあります。

■ 事業協同小組合
この組合は、実施事業の内容が事業協同組合と同じであり、小型の事業協同組合と言える組合です。組合員となれる資格が、従業員5人以下(商業、サービス業は、2人以下)の事業者に限られており、それがこの組合の特色であります。

■ 火災共済協同組合
この組合は、組合員の火災による損害を埋めるための共済事業を行う組合です。設立は、各都道府県に1組合、または業種別に全国に1組合、また連合会は全国に1つしか認められず、更に、都道府県単位の組合は大部分設立されています。したがって、多くの場合、組合を設立するというよりは、この組合を利用するという立場になりますが、利用は組合員に限らず親族まで利用できます。

■ 信用協同組合
この組合は、金融事業のみを行う組合ですが、設立について種々制約がありますので、火災共済協同組合と同様、多くの場合この組合を利用するという立場になろうかと思われます。
信用協同組合の事業は、
  • 資金の貸付・手形の割引 、
  • 預金等の受入れ
    が主なものですが、その他
  • 内国為替取引、
  • 有価証券の払込・配当金等の支払い、
  • 国民金融公庫など政府系金融機関の代理業務
    なども行えます。

■ 協同組合連合会
事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合の上部団体というべきもので、それぞれの組合の2組合以上が会員となって組織します。事業は、それぞれの連合会によって異なりますが、個別組織ではできない大規模の事業や、会員の指導・連絡などを行います。

■ 企業組合
この組合は、これまで述べた組合が共同事業によって組合員の事業を補完するのに対し、組合員の事業を統合するなどして、組合自体が一つの事業体となって、商業、工業、その他の事業を行う組合です。
また、この組合は、組合員が共に働くという特色をもっており、そのため、組合員に対し組合の事業に従事する義務が課されております(組合員の2分の1以上が従事し、かつ、従業員の3分の1以上が組合員でなければなりません。)。
また、組合員以外の有効な外部経営資源を活用するため、一定の制限のもとに株式会社などの法人や任意グループも加入でき、連携しながら事業を展開することができます。
このようなことから、この組合は、小零細事業者が、経営規模の適正化を図る場合や安定した自らの働く場を確保するのに適しています。
ガイドブック

■ 商工組合
この組合は、同業者で組織し、地区内に1業種に1組合の設立しか認められず、しかも地区は原則として都道府県以上であることが必要であります。また、地区内有資格者の過半数の加入が設立要件となっており、必要により、一定条件のもとに大企業の加入も認められます。なお、連合会は、全国で1つしか認められません。このように、本組合は、業界を代表する同業組合的性格をもつ組合です。
したがって、この組合は、業界全体の改善発達・秩序維持・経営の安定を図ることを目的としております。そのため、本組合は、構成員である組合員の近代化・合理化を図る代表的な組合である事業協同組合とともに、中小企業組合制度の二つの柱となっています。
商工組合の事業は、
  1. 業界改善発達のための指導調査事業 、
  2. 取引先等に対する組合協約の締結 、
  3. 大企業の進出に対する特殊契約の締結 、
  4. 共同経済事業

    などですが、業界を代表する組織であるところから、業界の構造改善事業(中小企業近代化促進法に基づく制度)などもこの組合が中心となって推進しております。
    なお、商工組合は、出資制をとらない非出資の組合も認められますが、非出資の場合は共同経済事業は行えません。

■ 協業組合
この組合は、国際競争力の強化等の時代的背景のもとに、協業化の必要性から昭和42年に制度化された組合ですが、組合員の事業を統合し協業化することにより、企業規模の適正化・生産性の向上等を図る組合で、組合自体が一つの独立の企業体となる組合です。その事業は、協業事業と協業事業に関連して行う関連事業とがありますが、協業事業は組合員の事業の全部を統合する全部協業のほか、事業の一部の協業も認められます。
また、組合自体が独立の事業主体となることでは企業組合と同じですが、組合員は事業者に限られるほか、出資、議決権、加入脱退などについて事業協同組合等と異なった制度がとられており、会社に近い運営ができます。

■ 商店街振興組合
この組合は、小売業、サービス業を中心に商店街に組織するもので(30店以上が近接して商店街を形成している場合に限られる。)、アーケード、街路灯の設置や商店街の改造など環境整備事業を行い、商店街としての街づくり、商店街全体の発展を主なねらいとしております。そのため、組合員は、商業・サービス業に限らず、銀行や神社あるいは住民など商店街に居所を有する者も加入できることになっています。
事業は、環境整備事業のほか、共同仕入、共同宣伝、チケット・商品券の発行などの共同経済事業も行えます。

■ 生活衛生同業組合
この組合は、飲食店、理容、旅館、クリーニングなど生活衛生関係業種の同業組合で、18業種が指定されております。この組合は、生活衛生の向上を主な目的としておりますから、適正な衛生措置や衛生施設の改善向上を図るための事業を行いますが、商工組合と同様に同業者を網羅する組織でありますので、設立の要件や事業の種類も、商工組合に近いものとなっております。また、設立は、都道府県単位に1業種1組合、全国に1業種1連合会の設立しか認められません。

なお、組合の設立できる業種は、寿司店、麺類店、中華料理店、カフェー・バー等、料理・待合等、その他の飲食店、喫茶店、食鳥肉店、その他の食肉販売店、氷雪販売店、理容業、美容業、興行場営業、ホテル・旅館業、簡易宿泊所営業、下宿業、浴場業およびクリーニング業の18業種です。このうち下宿業を除く17業種に組合が設立されており、理容、美容、ホテル・旅館、浴場、クリーニングの5業種については既に47都道府県に設立が完了しています。